「憧れ」の文化交流

いまや世界中に浸透したアニメや漫画、映画や文学の日本独特の表現方法など、「日本」についての様々な文化はここ数年で外国の人々から高い評価を受ける傾向にあります。日本に憧れを抱いて、日本への留学を目指して勉強している学生たちも多いでしょう。憧れの日本文化にすっかり浸透してしまい、日本人以上に日本語を丁寧に正しく使いこなせる外国人は数多くいます。日本文化の魅力は小さな島国の中で「和」を重んじ、控えめで思い遣りがあり、人に対して礼儀を尽くすところなどでしょう。お辞儀よりも握手が主流である海外の人にとっては、日本人のつかず離れずな絶妙な距離感が珍しいのかもしれません。「もったいない」という言葉が日本にしか存在しないことが話題になりましたが、そのような言葉の機微や表現力の豊かさも評価されています。日本語は平仮名とカタカナと漢字といった数種類の表記を同時に使い分ける珍しい言語ですから、そうした観点から日本に興味を持つ外国人も少なくないでしょう。

また、近年は「和食」の食文化に惹かれて日本へとやって来る外国人観光客がずいぶん増えました。脂っこく糖質の多い食べ物が一般的である外国の料理に比べれば、日本の食事は非常に独特のものとして映るでしょう。すでに「和食」は外国人にとってヘルシーなメニューだという認識が浸透しています。健康を気遣うために、日本以外の国にいながらわざわざ日本食を食べる人もいるほどです。悪く言えば「質素」とも言える和食をここまで高く評価してくれる外国人は、日本の文化そのものをリスペクトしてくれているのでしょう。

しかしその一方、日本に住んでいる日本人にとっては、アメリカの開放的な空気や柔軟な考え方、イギリスの荘厳な建築やマナーを重んじる文化など、日本人にはなかなか真似のできない外国文化こそ憧れの的でしょう。外国から見た日本の食事がそうであるように、日本から見た外国の食事風景もまた、興味深いものです。

例えばアメリカの代表的なスイーツの一つにパンケーキがありますが、パンケーキを目当てに人気のカフェへ足を運ぶ若い女性は少なくありません。元々海外の食文化のひとつであったパンケーキは、すでに日本で大流行している最先端の人気スイーツとなっています。アメリカ人にとっては朝から気軽に食べる当たり前のメニューかもしれませんが、日本人にとっては頑張っている自分自身へのご褒美として食べに行きたいお楽しみメニューになっていると考えると、不思議なものです。それぞれの文化の調和は、こうした未知の文化への憧れから始まるのかもしれません。